無差別・平等の医療を実践
沖縄医療生活協同組合
上原 昌義 理事長
―沖縄医療生協のご紹介を。
組合員と一緒になって、健康や生活の課題を解決するためさまざまな医療・介護の取り組みを行っている団体です。健康をつくる、平和をつくる、いのち輝く社会をつくることを理念にしています。1972年10月に設立され今年で45周年です。
医療生協設立前の70年に那覇市松尾に沖縄民主診療所が開所し、通常の診療のほか訪問診療や夜間救急、看護師による地域の保健予防活動も始めました。76年に入院施設を備えた沖縄協同病院が開院しました。現在は3つの病院、6つの診療所、老人保健施設や介護施設等があります。
沖縄協同病院では高度急性期医療を担い、とよみ生協病院、中部協同病院で回復期のリハビリなどを行います。診療所では訪問診療も実施しています。無差別・平等の医療・介護の実践と、地域と協同し医療の質向上を図ること、この2つの柱を掲げています。
―先進的医療については。
臓血管外科の分野でMICSという最小侵襲の手術をしています。そのほかの外科系のチームも患者さんに負担の少ない小さな傷、一ヵ所ですむ手術に取り組んでおり、これからの流れだと思います。患者さんの要望にこたえていくための技術研修を積極的に支援しています。
―沖縄の健康課題について。
経済的に厳しく、状態が悪くなってから病院に来る人が多いです。誰もが安心して健康的な生活を送ることができているかというと、沖縄はまだできていないと感じています。
経済的な困難を抱える患者さんのために私たちは無料・低額診療事業を2010年から行っています。沖縄は全国一所得が低く子どもの貧困問題もあります。貧困の問題は健康にも関係し、歯の状況に顕著に出ます。私たちの職員が貧困と虫歯の本数が相関することを調べ発表しました。経済格差への支援と、保健予防活動が今後重要だと思います。
健康講話や、県内360の班で実施する健康づくり事業、コープおきなわさんと協同して開催している子ども健康まつりなども継続していきたいです。
―今後の展望について。
将来的には沖縄も人口減少に転じます。その際今の医療を維持するのは困難です。県や医師会等と協力し地域医療を構築する必要があります。
施設については、中部協同病院の建て替えが始まっており、とよみ生協病院も建て替えを検討しています。現在第5次長期計画の中間地点にいます。設備の充実、人材育成に取り組んで医療の質をさらに上げ、地域の方々が安心して住み続けられるまちづくりに貢献したいと思います。