<金口木舌>消費税率が地域で違ったら…


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 消費税の税率が8%から10%へと引き上げられて1カ月。買い物のたびにレシートを眺めながら、10%の重みを実感する。同時に別の想像も働かせてみる

▼地域によって税率が違ったらどうだろう。沖縄県だけが70%の一方で、東京都など一部の都道府県が数%で、ほかの多くの県では0%だったら
▼数字は米軍専用施設面積の各県の全国比率だ。米軍基地負担の偏在は「消費税に置き換えると分かりやすい」と広島修道大の野村浩也教授が教えてくれた。「消費税を皆が背負うように、法で決まったことは平等に負担しないといけない」
▼沖縄への米軍基地集中が日本人による差別によるものだと野村さんが著書「無意識の植民地主義」で指摘して14年。状況は変わらず、むしろ悪くなっている。そんな中で増補改訂版がこのほど刊行された。14年前に先輩に勧められて読んだ衝撃を思い出す
▼基地を押し付けている本土側が、それに気付かずに沖縄に癒やしを求めに来る。基地負担を県外に押し付けるのをよしとしない空気があったが、野村さんの論考は県外移設に目を開かせた。現在、全国に広がる基地引き取り運動にもつながっている
▼消費税引き上げで政府はキャッシュレスポイント還元制度を導入したが、不公平だと不満も強い。不公平感と増税の重みは、沖縄への不条理を考える鍵になるかもしれない。