<金口木舌>Jの星


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 高校野球夏季大会の優勝投手、八重山の砂川羅杏(らいあん)選手はノーラン・ライアンにちなんで命名された。米大リーグの奪三振王は46歳まで現役で、中高年の星とも呼ばれた。引退は1993年

▼日本スポーツ史に残る出来事があった年だった。プロ化されたJリーグの開幕である。この年、5月の国立競技場でのヴェルディ川崎―横浜マリノスの開幕戦には6万人が詰め掛けた
▼オーダーを見返すと横浜Mに水沼貴史、木村和司、井原正巳。川崎には加藤久、都並敏史、柱谷哲二と懐かしい名前が並ぶ。川崎のFWは三浦知良選手だった
▼53歳となり、現在は横浜FCに所属する三浦選手がJリーグルヴァン杯で先発出場した。カップ戦の最年長出場記録の42歳を大きく塗り替えた。開始早々のスライディングタックルにダイビングヘッドのシュートと存在感を放った
▼J開幕戦に出たのはプロ8年目。キャリアは4倍以上の35年目となった。衰えを補う並々ならぬ鍛錬と地道な節制を続けているのだろう。努力の積み重ねを感じさせないのもスーパースターのゆえんである
▼ウイルスとの先の見えない戦いが続く。ともすればふさぎ込みそうにもなる日々にアスリートの挑戦は夢と元気を与えてくれる。三浦選手には次はJ1での記録更新が懸かる。さりげなく達成してくれそうだが、見る者の心を大きく揺さぶるはずだ。