<金口木舌>自転車による冒険


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 幼い頃、一人で隣町に行くのはちょっとした冒険だった。住んでいた大阪の南の町から、親に連れられ車で市外に出ることはあっても、自分一人で冒険するのはいつも自転車だった

▼大学に通った京都の街も学生は自転車が多かった。大学のある交差点は、自転車が大量に行き交う北京の朝の風景に例えられた。当方はというと学生時代はバイクにのめり込んだ方だったが
▼京都では近年、観光でレンタル自転車のニーズが増えているらしい。貸し出す店も増えている。自分のペースで回れるのも魅力のようだ
▼りゅうぎん総研が沖縄観光の「サイクルツーリズム」戦略をまとめた。新たな観光の呼び水としての自転車に焦点を当てた。県内ではサイクルルートが途切れ途切れで表示も明確ではない。自転車区画の整備は市町村でまちまち、といった課題があるという
▼国外からも注目される広島県と愛媛県を結ぶ「しまなみ海道サイクリングロード」からも学ぶところは多い。海風を感じながら自分の足でこいで島を渡っていくのは楽しいが、沖縄の風景も負けてはいない
▼歩きだともどかしい。車やバイクは速すぎる。自転車のスピード感はその間で、車では見落としてしまう風景も自転車だと気付ける。感じる風も心地よい。電動自転車という選択肢もある。この夏自転車を借りて、ちょっと冒険に出るのもいい。