<金口木舌>全国制覇


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 飲食などの支払いを仲間内で均等にするのは「割り勘」。今の世の中、なかなかその機会も減った。この言葉、「割前勘定」の略だが、元の言い方を意識することはほとんどない

▼スポーツで耳にする略語に「断トツ」がある。五輪報道でも見聞きする。こちらは「断然トップ」の略。すっかり定着しているからか「断トツの1位」と使われることがあるが、二重表現ではある
▼北信越高校総体の陸上女子円盤投げで那覇西高の友利晟弓(なるみ)選手が優勝した。45メートル40の自己ベストで、2位を約2メートル近く上回った。断トツの1位と言いたくなるような勝ちっぷりだった
▼伊良波中2年で全国優勝し、日本中学記録の更新を狙った。しかし、競技会の取りやめが続く。卒業前の記録会が日中新樹立の最後の機会だったが、これも中止に。練習では記録を上回っていて、可能性は十分だった。どれだけ悔しかっただろう
▼那覇西高に進んでも練習できない期間が続いた。できる鍛錬を重ねて全国総体出場を果たした。久しぶりの全国大会にも慌てることはなかった。渾身(こんしん)の投てきで放った円盤は向かい風を突いて伸び、福井の地で最高の笑顔の花を咲かせた
▼まだ2年生。その活躍に、高校の先輩で五輪走り幅跳びに出場した津波響樹選手も刺激を受けたという。今後の可能性も計り知れない。まだまだ記録を伸ばしてくれるだろう。