<金口木舌>自然への畏敬忘れるな


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 11日は「山の日」。国民の祝日に関する法律では「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」日と定めている。日付には特別な由来はなく、多くの人が夏休みを取るお盆の時期に合わせたようだ

▼自然は私たちの暮らしに大きな恩恵を与えてくれる。沖縄でも、昨年7月に本島北部や西表島が世界自然遺産に登録され、エコツアーなどを通じて豊かな生態系をはじめとした魅力が多くの人に再認識されている
▼一方で、自然はいつでも人に優しい訳ではない。6日、大宜味村津波の平南川上流にあるター滝で、増水によって一時64人が孤立、1人が流されて死亡する事故が起きた
▼当日の予報は曇りや晴れだったが、常時モニターしているレーダーで雨雲を確認した職員が、行楽客を呼び戻しているわずかな間に濁流に一変した。管理できない自然の恐ろしさを痛感する
▼夏のレジャーシーズンは佳境を迎え、今後さらに多くの人が山や海へと出掛けるだろう。自然への親しみと同時に、「畏れ」を忘れず備えを万全にすることが何より重要だ。