<金口木舌>地元の心届ける「くくるBOX」


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 中身よりも喜ばれそうな贈答用の段ボール箱を名護市が提案している。まず目に飛び込むのは箱の外側を埋める5地域の紹介だ。市誕生前の旧1町4村を色分けし、伝統的な祭りや風習、自然、特産物などを描く

▼贈答箱は市が昨年、考案した。地元を売り出すために市商工会と市観光協会が最近、会員や市民らに積極的な活用を呼び掛け始めた。地域色があふれ、興味をそそられること間違いなしだ
▼箱の内側にも楽しさが詰まっている。1月のさくら祭りに始まり、市の主な年間行事をまとめただけではない。歴史や史跡、名所はクイズで学べる形式を取る。市の魅力を余すことなく記している
▼「くくるBOX」と呼ばれる箱は、うちなーぐちの「くくる(心)」をもじった。地元の大切な資源に気付「く」、一緒に動「く」、つなが「る」をつなげ、市民の輪による地域振興への意欲も込めた。地域の愛を届ける点では、中身を上回る“主役”となろう
▼市商工会の渡具知豊さんらが発案し、ゴーヤー茶やノニの黒みつ、もずく麺など名護の特産品をそろえたギフトセットに先日、この箱が使われた。商工会と観光協会が発送元となり、県外の希望者に届けた
▼ファンからリピーターに、そしてサポーターへ。ギフトセットに込められた地元の願いはきっと伝わったことだろう。贈られた側の喜ぶ顔が目に浮かぶ。