<金口木舌>命は宝

 時折見せるほほ笑みは天使のよう。沖縄市の泡瀬特別支援学校高等部2年生の山城美咲さんは、生まれつき表皮水疱(すいほう)症(栄養障害型)の病気を患い、17歳を生きる

▼先天性表皮水疱症は表面皮膚が常に炎症を起こし、ちょっとした外力で皮膚に水泡ができてしまう。炎症と水疱の影響で、美咲さんの手や足の指は癒着してしまった
▼幼いころにかゆい目をこすって左目の視力を失った。小学生の時に聴力を失ってしまい、好きなアイドルの歌を聴くこともかなわなくなった。母の理沙さんは今でも「聴力を返して」と願う。何より会話が不自由になったことが、心底悲しかったと言う
▼以来、手話と口唇を読むのが会話になった。それでも「楽しい、悲しい、おいしいって感情が表れると、うれしい」と言う。会話は「以心伝心」になった。理沙さんは「大変だけど、美咲の元気が一番の幸せ」と言う
▼かつては学校に限らず、暮らしの中に障がい者がいるのは当たり前の風景だった。それがいつの間にか遠のいてしまい、懸命に生きるという、根本の営みを忘れがちになった
▼美咲さんの屈託のない笑顔を、学校の同級生が囲むのは、ひたむきに生きる姿に共鳴してのことだろう。理沙さんは、美咲さんと17年を共に生き「命は宝」と感じる。生きる大切さを唱え続ける言葉は、常に時代を超えて響く。