<金口木舌>国際マメ年

 この食材がなければ、私たちの食卓は随分と興ざめしていただろう。みそやしょうゆ、豆腐、納豆、枝豆も味わえなかった。大豆である。日本の食文化には不可欠の存在だ

▼今でこそ普通に食されている豆だが、人類が食用にするには相当の困難があったと、中尾佐助著「栽培植物と農耕の起源」(岩波新書)に教わった。豆には動物に食べられないように堅い殻や有毒成分がある。毒抜きや調理には水を加えて煮なければならず、それには土器が必要だった
▼豆が人間の食料リストに入ったのは土器の発明後だという。以後、食べるための加工技術が各地で発達する。豆大国インドでは豆を砕いてダルというスープが、日本では発酵によってみそやしょうゆが生まれた
▼ことしは国連が定めた「国際マメ年」。豆の生産と貿易の促進がうたわれている。なぜ国連が、といぶかる方もいようが、人口増や環境悪化が懸念される地球の“救世主”として期待がかかる
▼豆は安価な上、タンパク質が極めて豊富で微量栄養素や食物繊維も多い。途上国の食料安全保障には欠かせない。さらに、他の作物よりも少ない水で栽培でき、やせた土地でも大丈夫。土壌を肥やす根の働きもあり、地球に優しい農業に貢献する。いいことずくめだ
▼チャンプルーの豆腐や晩酌の枝豆も、ことしはとりわけ感謝の思いを込めて味わいたい。



琉球新報