<金口木舌>鏡開き


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 菜那

 スーパーに聞くと、近年は小さいものが主流という。正月に神仏などに供える鏡餅。床の間などがなく、大きな餅を置く場所に困る最近の住宅事情などにも関係があるようだ

▼穀物の神である「年神(歳神)」へのお供え物で、丸い餅を二つ重ねるのは円満に年を重ねる意味がある。「鏡開き」のきょう、雑煮や汁粉などにして食べることで1年の無病息災や開運を祈る
▼沖縄にはもともと、正月に雑煮を食べる習慣はない。だが、鏡餅形の容器に個別包装の餅が入った商品は売れるようで鏡開き後、汁粉などで食べる家庭もあるだろう
▼ただ、注意が必要だ。ことし正月三が日、東京都だけで餅を喉に詰まらせ18人が救急搬送され、2人が死亡した。消費者庁によると、窒息による死亡者数は1月にもっとも多く、2015年も1月だけで1400人近く亡くなった
▼中でも高齢者が約90%を占める。小さく切り分けることや口の動きがスムーズかどうか周囲が気を付けて食べさせなければいけない。万が一があった場合、早急な119番通報が重要だ
▼沖縄では旧暦12月8日の17日にムーチー(鬼餅)がある。ムーチーを詰まらせて、とはあまり聞かないが、材料になる商品には「喉に詰まらせないよう」との注意書きもある。無病息災を祈る餅や子どもの健康を祈るムーチーで命を失っては元も子もない。