<金口木舌>少年ハンダラは見ている

 過激派組織「イスラム国」(IS)による湯川遥菜さんとジャーナリスト後藤健二さん殺害、フランスの風刺週刊紙シャルリエブド襲撃から1年

▼後藤さんとシャルリの故人に死後、世界新聞・ニュース発行者協会は「自由のための金ペン賞」を贈った。虐殺は痛ましいがその後もシャルリは、イスラム教預言者ムハンマドや欧州への中東・アフリカ移民を風刺で“侮辱”する
▼同じ賞を29年前の暗殺後に贈られたのはパレスチナ生まれの風刺画家ナージー・アル・アリー(享年50)だ。イスラエル、アラブの金満家、保守革新、米英仏などに抑圧される故郷を筆1本で描き、アラブ民衆の絶大な支持を得て力を与え続ける
▼1969年、少年ハンダラ(「苦しみ」の意)が生まれた。難民キャンプで育ったナージーの10歳の姿絵だ。坊主のいがぐり頭、継ぎはぎの服にはだし、両手を後ろで組んで故郷パレスチナを取り巻くイスラエルやアラブ、西欧の抑圧をじっと見る
▼故郷に戻る日まで10歳のまま。今に続くイスラエルのパレスチナ人虐殺、ISによる世界の混沌(こんとん)。ハンダラはまだどこかで見ている
▼イラク戦争を泥沼化させた米国、シリア空爆を率先したフランスなどの一部反体制派への武器供与こそがISという怪物を生んだ。米追従の安倍政権はこの間、辺野古新基地建設を進めながら安保法制を成立させた。ハンダラの目を忘れまい。



琉球新報