<金口木舌>翼を切らないために


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 史上最年少の17歳でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん。イスラム過激派に頭部を銃撃され、今も脅迫を受けながら、子どもや女性が教育を受ける権利を訴えている

▼父親ジアウディンさんはよく聞かれるそうだ。「どうしたらあんなに勇敢な子になるのか」。答えは「私が何をしたかではなく、何をしなかったか。私は娘の翼を切らなかった。それだけです」
▼女子教育が抑圧されたパキスタンで、父親は幼いころから「マララは自由な鳥になれ」と繰り返していたという。マララさんも平和賞受賞スピーチで「私の翼を切らずに、自由に羽ばたくことを教えてくれた父に感謝する」と述べた
▼子どもをどう育てるか、親の役割は大きい。だが、県内には、境遇により翼を畳まざるを得ない子どもたちも多い。昨年末からの本紙連載「揺らぐ学びの土台」「希望この手に」は貧困にあえぐ子どもたちの過酷な現実を伝えている。記事の反響は大きく、支援したいとの声も相次いでいる
▼読者からの強い要望を形にしたいと、本紙は県共同募金会と連携し「りゅうちゃん子どもの希望募金」を始めた。早速、温かい浄財が寄せられている
▼目の前の生活で精いっぱいの子どもたちが、食べ物や学びの心配をせず、翼を大きく広げて羽ばたけるようお手伝いできればと思う。一人一人に輝く未来を届けたい。