<金口木舌>笑顔の日

 2003年にアメリカが始めたイラク戦争。開戦理由の大量破壊兵器も見つからず、住民11万人以上の命を奪う無謀な戦争だった。開戦1カ月後、こんなことがあった

▼武装した米軍部隊が宗教指導者と交渉しようと、ナジャフという街に入った。指導者を捕まえに来たと勘違いした大勢の住民が米軍を取り囲み警戒した。緊張が高まる
▼とっさに隊長が叫んだ。「エブリバディ、スマイル!」。こわばった米兵たちが白い歯を見せると、住民たちもほほ笑み返した。張り詰めた空気が一変する様子が映像で残されている。隊長は「世界中どこへ行っても、笑顔が通じなかったことはない」と語る。武力よりも笑顔の力が勝った事例だ
▼日本にも「笑う顔に矢立たず」や「怒れる拳、笑顔に当たらず」ということわざがある。笑顔で接してくる者には攻撃できず、憎しみも自然に消えるという教えだ。言葉の壁があっても、笑顔は好意を伝える万国共通の“言語”と言える
▼笑いは健康にもいい。ナチュラルキラー細胞を活性化させて免疫力を上げ、痛みを和らげてくれる。科学的に実証済みだ。作り笑いで口角を上げているだけでも効果があるそうだ
▼きょう2月5日はニコニコの語呂合わせで「笑顔の日」。政治家や有名人の不祥事など、しかめっ面になることが多いご時世だが、日常では笑顔を忘れないで過ごしたい。



琉球新報