<金口木舌>身内に甘い人たち


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 「身を切る」には、つらさで体を切る厳しさがある。民主党政権下の2012年11月。安倍晋三自民党総裁は野田佳彦首相との党首討論で、消費増税のセットとして国会議員の定数削減という「身を切る改革」を約束した

▼消費税は8%になり、国民の負担は増した。一方で政治改革は一向に進まない。10%への引き上げは17年4月だが、自民党は衆院の定数削減を20年以降に先送りする。これでは「セット」と認められない
▼身を切るどころか、身内に甘い体質が閣僚や所属議員の失態を生んではいないか。最たるものは口利き疑惑による甘利明前経済再生担当相の閣僚辞任だろう。育休を宣言した宮崎謙介元衆院議員の不倫スキャンダル辞任も情けない
▼国が定めた除染目標の被ばく線量を「科学的根拠がない」と決め付けた丸川珠代環境相は発言撤回に追い込まれた。所管する「歯舞」を読めなかった島尻安伊子沖縄・北方担当相ら、あきれる面々が続く
▼国会議員は歳費約2200万円のほか、文書通信交通滞在費1200万円が支給される。立法事務費や公設秘書給与などを含めると1人当たり年6千万円はかかる
▼己に甘いは人の常とはいえ、国会議員がこれでは恥ずかしい。国民だけに身を切らせて恥じない政治でいいのか。政治改革を詰め切れない野党も含め、国会は身を切らない人の群れに見える。