<金口木舌>来月から障害者差別禁止法


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 4月の施行を前に周知されたかといえば、心もとない。障害者差別解消法の施行まで1カ月を切った。役場や学校など公的機関には障がい者への「合理的配慮」が義務化され、民間事業所は努力義務となる

▼「配慮」の一例。税金の確定申告会場が建物の2階ならば、車いす利用者の求めに応じて1階にも説明員を配置する。公的機関ならば「他の者と平等」な対応と配慮は間に合うだろう
▼問題は民間である。法律は2013年に成立し、周知期間が3年近くあったにもかかわらず、ことしに入って国から指針が次々示され、ドタバタ感は否めない。28日の沖縄市社会福祉センターでの研修会では、こんな報告があった
▼知的障がい者が預金通帳の発行を依頼した際のこと。「銀行に『名前と住所を漢字で書いて』と言われても書けない人もいる。何とか公的機関との調整で規則を変える配慮はできないか」
▼障がい者の相談に対応する比嘉ひとみさん(73)=沖縄市=が言う。必ず本人が出向く手続きも多く、負担感は大きい。事業所もそのたび休まねばならない。中には通帳の意味を理解できない人もいるという
▼到来する高齢社会を考えれば、障がいは人ごとではない。脇目もふらず働いてきた中で、見落としてきた社会の障壁を、いま実感している人もいよう。全ての人にとって大切な法律を十分に生かしたい。