<金口木舌>ハーモニー


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 ドレミファソラシド。それぞれはただの音にすぎないが、重ねると心地よい和音が生まれる。長い音と短い音を組み合わせ、さまざまなリズムを絡めると心に響く曲に変わる。音楽の面白さであり、魅力だ

▼大地を踏み鳴らし、手拍子を取って歌が生まれていった。ブルースは黒人奴隷のつらい労働を起源とする。琉球の古謡は伴奏もない中で労働歌などとして歌い継がれた。歌は人の暮らしと共にあった
▼原始の昔から、物を打ち鳴らし楽器が生まれた。三線は3本の弦があるだけ。それがひとたび唄者の手にかかるとウチナーンチュの心をうたう調べを奏でる。幼いころ習ったピアノは譜面を追うので精いっぱいだったが、名のあるピアニストの演奏には心癒やされる
▼かつて中国の毛沢東はピアノの演奏になぞらえて、共産党幹部に対し「ピアノが弾けるようになれ」と話したそうだ。一部の指だけでなく全部の指を動かさないと駄目だと言い、指導部としての心構えを説いたという
▼中国の全国人民代表大会(全人代=国会)が5日、北京で開幕した。景気の減速が取り沙汰される中、世界経済へも影響することから中国の経済政策に世界から注目が集まる
▼経済のありようは安全保障に波及する。南シナ海での軍拡をめぐっても落ち着かない。国際社会のプレーヤーが、平和のハーモニーを奏でる日を望みたい。