<金口木舌>迷惑を掛ける


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 人に迷惑を掛けてはいけない。ことさら親に強く言われた覚えはない。だが、何か行動しようとする際、真っ先に思い浮かぶ

▼日本では基本的なルールとして浸透している。海外では迷惑は掛けても「お互いさまだ」という論理が先立つ国もあるという。迷惑を掛けられた場合、許せるかどうかの範囲にも違いが出る
▼意識的に迷惑を掛ける行為は許されない。2月、那覇市に爆破予告があった。「那覇市庁」とされたため、避難などの対応は市立小中学校など関連施設108カ所に及んだ
▼同時期に全国各地で爆破予告があったが、これまで何度も繰り返されていることだ。対応は各自治体に委ねられ、難しい判断を迫られる。いたずらで爆破予告ができるということが怖い。犯罪予告が未遂に終わっても重大な犯罪だと知らなければいけない
▼「意識的に」は論外だが、知らずに迷惑を掛けることもある。米国で2歳の女の子が、緊急通報用の「911」に「ズボンがはけません」と電話した。女性保安官が対応したという。米メディアが温かい話題として伝え、本紙の6日付に掲載されている
▼ただ、安易な救急車の利用は全国的な問題だ。県内でも「タクシー代がない」「病院で待つのが嫌」などとし要請する人がいるという。救急車が本当に必要な人に影響を与えないか。広い目線と人に対する優しさは常に持ちたい。