<金口木舌>「だまし討ち」の台本

 米大統領選を報じるテレビ番組は劇場中継のような趣がある。辛辣(しんらつ)な言葉で批判し合う演説会は喜劇じみているし、プラカードが揺れる政治集会も芝居がかった演出が効いている

▼目下、政治ショーの立役者は不動産王トランプ氏である。挑発する言い回しで観衆を誘導する。排外的な差別発言も緊張感を生む演出効果を狙ったか。トランプ劇場は危なっかしさを売りにしているようだ
▼大向こうで眺めている分には気は楽だが、そうも言ってはおれない。「米国を再び偉大な国に」というトランプ氏のせりふは警戒を要しよう。「偉大な国」の所業をたどれば分かる。沖縄も無関心ではおれない
▼改憲劇に興じる安倍首相の危なっかしさはトランプ氏に引けを取らない。集団的自衛権行使を全面的に認める考えを打ち出し、「在任中に憲法改正を」と大見えを切った。舞台下の暗い奈落の底に国民を引き込むつもりか
▼その安倍政権は「だまし討ち」がおはこらしい。和解成立で一区切り打ったはずの法廷劇をひっくり返すような台本を持ってきた。「是正措置」なる題名である。強引な筋書きのテーマは「辺野古が唯一」か
▼安倍政権が仕立てた独り善がりの台本からは「民意」の2文字を拾うことはできまい。これまで通り沖縄の願いを込めた物語を紡ぎ、しっかりと舞台を築こう。御万人(うまんちゅ)が主人公、役者はそろっている。



琉球新報