<金口木舌>助けられ大賞

 「情けは人の為ならず」とは、人に情けをかければ、いずれ巡って自分に返ってくることを指す。沖縄市社会福祉協議会事務局長の金城和彦さんに聞くと、大抵の人は情けをかけることに躊躇はなくとも、かけられることは不得手という

▼「助けて」と言えないばかりに孤独死など時に深刻な事態も招く。金城さんが注目したのが長野県の須坂市社会福祉協議会が事務局の「助けられ大賞」という。助け合いの始まるきっかけは「助けられる」体験をすることにあるという
▼文章で綴る過去の受賞作は多岐にわたる。母の認知症に悩む娘さん、学校に車いすで通う生徒、学習障がいのある息子の母…。周囲の理解や手助けが欠かせない多くの人が応募した
▼その一編に知的障がいのある孫の施設通所を支える祖母の話がある。自宅からバス停、そして施設へ。孫にとって難所の連続を、近隣住民やバス運転手、乗客、施設職員が連携し助け続ける
▼孫への支えを通して祖母が記す。「生きていれば人の温かさや優しさにたくさん助けられることを教わった」。賞の効果か、2003年以降の同社協のアンケートでは「助けてと言える人が増えた」という
▼子どもの貧困や認知症による行方不明、孤独死と殺伐とした世情にあって人の潤いに満ちた行いが、人の一助になる。沖縄市にもそこかしこにある。そんな人々の営みを大切に育みたい。