<金口木舌>この島の冷戦は終わったか


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 冷戦さなかの1962年10月、米軍がカリブ海で大規模な軍事演習を行った。ある島国に上陸し、政府を転覆させるという設定で、暗号名は「オートサック作戦」。アルファベットでは「ORTSAC」。逆から読むと「カストロ」という露骨さだった

▼当時、キューバにソ連の核ミサイル配備の疑惑が持ち上がっていた。直後にキューバ危機が訪れる。全面核戦争寸前にまで至り、人類は死のふちに立った。だが、ケネディ米大統領とフルシチョフ・ソ連首相の交渉により、瀬戸際で食い止められた
▼あれほど険悪な仲だった米国とキューバが電撃的に国交を回復したのが昨年7月。いよいよ来週、オバマ大統領がキューバを訪問する。現役大統領としては実に88年ぶりだ。かつての敵対関係からすると信じられない雪解けだ
▼冷戦の象徴だったベルリンの壁が崩れたのは1989年。ソ連の崩壊は91年。厚く重い鉄のカーテンが落ち、当時は無理だろうと思われていた変革が東欧を中心に相次いだ
▼歴史の歯車は確かに動いたはずだが、沖縄はどうか。冷戦の遺物である米海兵隊が今なお居座り続ける。時代を透徹する目を持った為政者が日米にいないことも一因だろう
▼来週、歴史的な場面を見ながら、真の冷戦終結がこの島にも訪れることを強く願いたい。為政者が思考停止なら、民の力によって歴史の扉を開けるしかない。