<金口木舌>水の安全

 東京勤務の時、売られているペットボトルを見て驚いた。ラベルには「東京水」。採水地の欄には、浄水場の名前が記してある

▼販売されていたのは水道の水だ。水道水はおいしくないというイメージだったし、わざわざペットボトルで買う人がいるのか、と首をひねった
▼東京の浄水技術は高く、安心して水道水を飲んでほしい、ということをアピールするのが狙いだったという。東京が先駆けだが、最近では全国各地でご当地水道水が売られている。お土産で買う人もいるようだから面白い
▼あす22日は「世界水の日」。耳慣れないが、国連が1993年に定めた。不衛生な水の利用で毎年数十万人もの子どもたちが命を落とす。その現状に思いを巡らし、水の大切さを世界中で考えようというのが制定の目的だ
▼人は水がないと生きられない。2011年3月11日に発生した東京電力福島第1原発事故。水道水から放射性物質の検出が相次いだ首都圏では、飲料水のペットボトルが売り切れた。水の安全性への信頼が揺らぐと安心して暮らせない
▼米軍嘉手納飛行場周辺の水源から化学物質が検出されていた。沖縄では複数の水源地が米軍基地内にある。日米地位協定で立ち入り調査も簡単には許可されない状況が長年続く。命をつなぐ水の安全・安心さえ保障されていない沖縄の現状にも目を向けてほしい。



琉球新報