<金口木舌>見上げてごらん


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 あれだけの流れ星を見たのは初めてだった。十数年前、国頭村の森林公園でキャンプをした時のこと。暑くて夜中に目を覚まし、テントから出ると、頭上には満天の星が輝いていた

▼眺めていると流れ星がスーッと尾を引く。あっちでもこっちでも。約1時間で30個以上。感激の夜だった。その日は8月12日、後で調べると「ペルセウス座流星群」のピークの日だった。1月の「しぶんぎ座」、12月の「ふたご座」と並ぶ三大流星群の一つだ
▼以来、この日は空を見上げるようになった。うるま市や南城市の真っ暗な海岸に足を運ぶ。壮大な宇宙に思いをはせ、ちっぽけな存在のわが身を省みるひとときだ
▼国立天文台によると今年は絶好の条件がそろう。例年より流星群が活発で、1時間に45個以上が期待できるという。月も早く沈むため、13日午前0時以降は最適だ
▼欧米の研究班の調査では、世界の3人に1人が天の川を見られない環境にいる。北米では人口の80%、欧州で60%、日本は70%に上る。人工の明かりによる「光害」は深刻で、世界人口の83%が影響を受けている
▼星が見られる環境は今や貴重だ。人類は便利さや快適さと引き換えに大切なものを失ってしまった。地球も宇宙に浮かぶ星の一つにすぎない。今夜、畏敬の念を持って空を見上げてみれば、地球人として何をすべきか答えが出てくるかもしれない。