<金口木舌>取材妨害


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 富山市議会で6月、議員報酬の引き上げを巡り取材をしていた北日本新聞社の記者が、市議に取材内容を記した用紙を取り上げられた。明らかな取材妨害だ

▼報酬を月10万円増の70万円とする条例改正案について、議員らに根拠や理由を問う取材だった。用紙は2時間半後、編集局幹部が抗議して返却されたが、妨害した市議は「用紙は回収しただけ」と強弁したという。改正案は、賛成多数で可決された
▼報道機関は報酬引き上げの理由を伝える義務がある。市議には報道の自由や表現の自由を脅かし、国民の知る権利も侵害しているという認識がない
▼同様の認識の欠落は、東村高江の米軍ヘリパッド建設現場のゲート前で警備に当たる機動隊と上層部にも当てはまる。県内2紙の記者が20日、市民と共に排除され、車両と隊員らがつくる人垣の中に閉じ込められた。記者が取材中だと訴えても無視され続けた
▼県警は「安全確保のため」と釈明したが、安全確保という名の「排除」「取材妨害」であった。この件で県警からの謝罪は今のところない
▼昨年6月、「県内2紙はつぶすべきだ」との発言が自民党国会議員の勉強会であった。報道圧力と言える発言だったが、今回はさらにむき出しの力の行使だった。県警ではなく、背後にある政府に焦りが見える。本質を見極めるには、報道し続けるしかない。