<金口木舌>ガレージから


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 眼鏡を掛ければ、歴史上の偉人が見た風景が目の前に広がる「有名人シミュレーター」。いろんな音を聞かせると、それを自動的につなげて音楽を奏でる「みんなでミュージック」。いずれも子どもたちのひらめきから生まれた発明品だ

▼沖縄こどもの国(沖縄市)の科学博物館ワンダーミュージアムで、多くの子どもたちが科学の不思議のとりこになっている。「自分ならこんなふうに」「こんなのがあったら」と考えを巡らしたアイデアが冊子になった
▼2014年11月から今年4月までの1年半で、寄せられたアイデアは1万479点に上る。しなやかな発想や発明がA4判の「がんまりあそび発明図鑑」41巻に詰まっている
▼スタッフの鈴木理美さん(43)は「展示を見るだけの受け身で終わらせず、表現する。積極的な関わりが世界発信の発明も生む」と期待する。中には「ハッと驚く発想もある」とも
▼米国マイクロソフト社の共同創業者ビル・ゲイツ氏のインタビューを思い出す。「最も恐れている挑戦者は」と問われ「怖いのは、どこかのガレージで、まったく新しい何かを生み出している連中だ」
▼人工知能(AI)や再生医療など、革新的発明は時代を一変させる可能性を秘める。ゲイツ氏の恐れは杞憂(きゆう)ではない。「ガレージの中の才能」は県内にもある。「がんまりあそび発明図鑑」をめくると、夢が大きく膨らむ。