<金口木舌>トランプ・ショックを好機に


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 アニメ「ドラえもん」に登場するガキ大将ジャイアンが子分のスネ夫にこう言ったとする。「君を守ってあげているんだから、それに見合う金を出せよ」。ジャイアンの陰に隠れてきたスネ夫は、そう言われると不安になるに違いない

▼トランプ氏の米大統領選勝利は「ショック」だと連日報じられている。トランプ氏は、駐留経費を日本政府が100%負担しないと在日米軍を撤退すると発言してきただけに、今後の日米関係を不安視する声が強い。米国がジャイアンだとすると、日本はスネ夫のように映る
▼日本の戦後は敗戦を否認し、戦争に至った要因を克服できず、米国との関係においてずるずると負け続けている-。京都精華大学講師の白井聡氏は、その状態を「永続敗戦レジーム」と呼ぶ
▼白井氏は選挙前、日本の政治家の発言やメディアの報道に対し「ヒラリーが勝てばこうなる、トランプが勝てばこうなるという話ばかりで、日本がどうしたいかが見えない」と嘆いていた
▼確かに日本の主体的外交ビジョンが見えてこない。トランプ・ショックは、対米従属と言われてきた関係から、日本が真の独立を果たす好機とも取れる
▼米軍駐留経費の全額負担か、自主防衛路線か-などの議論に終始せず、ジャイアンの傘に頼らない平和外交を構想してもいい時期だ。そこに沖縄の負担を減らす鍵もある。