<金口木舌>タイガーマスク運動


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 「うちにも“タイガーマスク”が来たんです」。興奮気味に県内の児童養護施設の職員から電話をもらったのは6年前。群馬の児童養護施設に「伊達直人」を名乗る人物からランドセルが届いたのをきっかけに、全国の施設に物品寄贈が広がった

▼その発端とされる群馬の男性がこのほど実名を明かし、子どもたちへの継続的な支援を訴えた。男性は幼いころ、家庭の事情でランドセルを持っていなかった
▼児童養護施設は虐待や貧困などで、親元での生活が難しい4歳から18歳までの子どもたちが共に暮らす。県内には8施設あり、約320人の子どもたちが入所している
▼子どもたちは高校卒業と同時に、18歳で独り立ちしなければならない。そのため高校時代からアルバイトで運転免許費用を捻出したり、新生活への準備金を用意したりと自立を迫られる
▼そんな18歳を支援しようと、県内の民間団体が2011年に1人毎月千円の会費を基金とし「にじのはしファンド」を立ち上げた。RBCiラジオは2年前から年に1度、啓発活動を展開してリスナーから寄付を募り、施設や里親と暮らす18歳に贈っている
▼「子どもたちは虐待されるためではなく抱きしめられるために生まれてきた」。群馬の“タイガーマスク”の言葉だ。子どもたちの笑顔のため、親を支える仕組みづくりも社会に求められている。