<金口木舌>分断を超える誓い


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 新春の集いが各地で開かれるこの時期、新たな門出に人々は何を願うだろうか。家族の健康、商売繁盛など身近な事柄から、平和など世界への思いもあるだろう。御願に、はやりがあるなら今年は「共生」ではあるまいか

▼第45代米大統領に現地時間の20日就任するドナルド・トランプ氏の門出に世界中の注目が集まる。世界に影響力のある米国の指導者というだけではなく、今回は関心の質が違う
▼著名歌手らが相次いで就任式への出演依頼を断った。公民権運動の闘士だった下院議員もボイコットを表明した。同じ日、人権団体などが大規模デモを行う
▼トランプ氏の女性蔑視発言や人種差別的な姿勢、排外的な政策への批判がやまない。批判に耳を傾けない態度も火に油を注いでいる。米社会に深刻な分断を招いた「壊し屋」とも呼ばれる
▼「県民への『差別』以外の何ものでもない」。4年前の1月、オスプレイ配備撤回と米軍普天間飛行場の県内移設断念を求める建白書を県内市町村長らが安倍晋三首相に手渡した。「オール沖縄」の門出である
▼政府のオスプレイ強行配備、米軍北部訓練場のヘリパッドや辺野古新基地の建設強行、沖縄へのヘイト(憎悪)行動活発化で、ヤマトとウチナーの溝は深まる一方だ。沖縄の訴えは「共生」への問いでもある。4年前の原点に立ち返り、分断に挑む誓いを新たにしたい。