<金口木舌>一番悪いのは誰か


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 「(スマホを)使ってうそをついたり、人をばかにしたりしないこと」「他の人にあなたの大事なところの写真を送ったり、もらったりしてはいけません」。一時期、話題になった「スマホ18の約束」だ

▼アメリカのある母親が13歳の息子に買い与える代わりに取り交わした。母親は最後に「あなたは失敗する」と断言しながらも、わが子にスマホの所有を認める。失敗や責任も含め、学ぶことも多いという認識だろう
▼本島の中学生が同級生を暴行した様子を撮影した動画がインターネット上で拡散された。昨年も本島で同様な事案があった。通常なら被害者が大けがをしたり、警察に届けたりしない限り公になるのはまれ
▼このような事案に接する時、考えるのは一番悪いのは誰か、ということだ。暴行者か、撮影者か、撮影された動画をネットに流した者か、動画拡散に関わった者か。いずれも悪い
▼特に暴行してはいけないという教育を徹底してほしい。ともすれば「流出」の方を問題視した対応もうかがえる。だが、それでは根本的な解決にならない。とはいえ、どのような理由があってもこのような動画の流出は取り返しの付かない事態を招く
▼冒頭の母親は「約束」の中でこうもつづる。「インターネットはあなたより巨大で強いのよ。これほどの規模のものを消すのは難しいし、風評を覆すのもなおさら難しい」