<金口木舌>温暖化と春の訪れ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 去年は台風1号の発生が7月と遅く、沖縄近海を通過する台風も少なかった。そのため海水温が高くなり、サンゴの白化現象が大規模に起きた

▼季節の移り変わりを、動植物の開花や初鳴きなどでみる沖縄気象台の「生物季節観測」で、平年は2月22日のウグイスの初鳴きが今年は1月31日だった。ツバメの飛来も平年3月14日のところ、今年は2月13日と1カ月早かった
▼名護市の海岸には、主に熱帯の海に生息するマンボウが瀕死(ひんし)の状態で見つかった。気温や海水温の上昇の影響だろうか。意識しなければ気付かない異変が、自然界で起きている
▼ヤマト運輸が、配達時間帯の早めの切り上げを検討している。ネット通販の利用者増で宅配個数が急増し、運転手の人手不足などが要因という。深夜0時まで開いていたスーパーが閉店時間を1時間早める動きもある。「働き方」の見直しは、地球温暖化対策に役立つ側面もある
▼「地球は熱病にかかっている。今、行動しなければならない」と指摘したのは、温暖化対策を訴える米国元副大統領のアル・ゴアさん。問われているのは、私たちの意識である
▼きょうは「啓蟄(けいちつ)」。冬ごもりの虫たちが地面からはい出てくる時期とされる。那覇では桜が満開を迎え、東村ではつつじ祭りが始まった。温暖化が進行する中、変わらぬ春の訪れのありがたさをかみしめている。