<金口木舌>性犯罪の厳罰化


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 日も場所も異なる場面で、別々の人から全く同じ内容のことを言われた。当方に娘がいるという話の流れで、娘の性被害を心配された

▼「男の子は加害者にならないよう教育すればいいが、女の子は被害者にならないよう自己防衛や教育をしても、100パーセントは防げない。誰でも被害者になり得る」。最近は男性被害の訴えもあるものの、女性の被害者が圧倒的に多いことから、友人らは娘の身を案じた
▼ふと思い出したのは小学4年の時、本屋で立ち読みしていたら知らないおじさんにお尻を触られたことだ。その場を立ち去るとおじさんもどこかへ行ってしまった。当時は全く意味が分からなかったが、数年たって痴漢だったと理解した
▼「誰でも被害者になり得る」体験をしている女性は筆者だけではないだろう。人は生まれる時に自分の性を選べない。一方的に負わされるリスクはできるだけゼロにしたい
▼性被害をどうなくすか。「性と国家」の共著がある作家の北原みのりさんは「性暴力を人権問題として普遍化しつつ、一方で加害者を絶対に許さず、追及しなければならない」と指摘する
▼政府はこのほど、性犯罪を厳罰化する刑法改正案を閣議決定した。強姦(ごうかん)罪の名称を「強制性交等罪」に、法定刑の下限を懲役3年から5年に引き上げた。厳罰化とともに、実効性ある性意識の教育が求められている。