<金口木舌>子の可能性を伸ばすには


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 子育ては第1子の場合、何もかも初めてで戸惑うことが多い。それが双子だったら、ましてや2人とも発達障がいだったら…

▼双子の娘の発達障がいの特性について、本紙で連載中の「ひなとかのんのお日さま日記」の執筆者森山和泉さんは、そんな双子の母親だ。しかし本人は子育ての苦労を子どもたちの特性と捉え、笑いも交えながら漫画で表現している
▼双子の1人、かのんさんは幼い頃、パレットに絵の具を何種類も出してひたすら混ぜ続けるのが好きだった。きれいとは言い難い色をつくり続けて2年。ある日突然、ピンク色のきれいな桜の花を描いた
▼もう1人のひなさんは、紙とえんぴつを渡すと延々と丸を並べて書き続けた。それがいつのまにか細かい点で描く「点描」のような作品を手掛けるようになった
▼かのんさんは「花」「昆虫」「鳥」を、ひなさんは「妖怪」と描く対象は決まっている。4年前に本社で開いた2人の絵画展には連日多くの人が訪れた。緻密な作風は訪れた人の心を奪った。18歳になった2人の絵は、さらに進化しているという
▼親は子どもの行動に口出ししがちだ。森山さんは絵の具を混ぜ続けようが、点ばっかり書こうが見守る姿勢に徹した。理由は「その先に何があるのか知りたかった」。同じ親として、子の可能性を摘んでしまってないか自問している。