<金口木舌>きょうだい島との絆


この記事を書いた人 琉球新報社

 北部市町村が参加して毎年開かれている「やんばる駅伝」。ことしはくしくも三つの「27」が“キーワード”になっている。第27回を迎える大会は、5月27日が本番。舞台となるのは、北緯27度線が横切る伊平屋島だ

▼日本への復帰は奄美諸島が1953年。沖縄は19年遅れの72年だった。その間、沖縄本島と与論島の間を通る27度線が、琉球弧の「きょうだい島」を分断した。沖縄の復帰を求める海上集会が、この線上で開かれた
▼伊平屋では島南部を通る。「北緯27度線」の標識が県道脇に立ち、歴史の一端を伝えている。線を挟んで復帰の時期が異なったということはなく、米軍統治は島全体で72年まで続いた
▼やんばる駅伝は1991年に始まった。離島の活性化や地域の交流などを目指し、回を重ねてきた。開催地として伊江、伊是名、伊平屋の3村に、2000年から与論町が加わり、四つの離島が持ち回りで開いている
▼北部12市町村の14チームと、与論町、沖永良部島の和泊町も鹿児島県から参加し、計16チームで競う。男女年代別の9区間42・195キロで、たすきをつなぐ
▼見えない海上の線で、かつて切り離された沖縄と与論、沖永良部。その線上にある島に集い、熱いレースを展開する。大会は「やんばるは一つ」を合言葉とする北部市町村が「きょうだい島」との絆を結び直す場にもなる。