<金口木舌>音楽のインターハイ


この記事を書いた人 琉球新報社

 高校生スポーツの祭典、県高校総体が26日から始まる。先行開催競技で代表が決まるなど、熱戦は既に始まっている

▼全国高校総体(インターハイ)で、いわゆるマイナー競技の取材を取りこぼしそうになり、先輩に注意されたことがある。「競技人口、人気の多寡はその選手に関係のないことだ」。競技の人気度で取材態度に差を付けてはいけないとの諭しだ
▼分野は異なるがインターハイの名を冠した闘いが沖縄市で始まった。若手バンドマンの登竜門として17回を数える沖縄音楽市の関連で始まった「バンドインターハイ」だ。軽音楽部の高校生バンドマンを支援するのが目的
▼会場となったミュージックタウンの石川一機さんによると、バンドを始める高校生は増えているものの発表の場が少ない。「年に1度でも競い合う場があれば励みになる」と企画した
▼グランプリに輝いた那覇西の新良光唄さんは「聴いてもらう機会が得られたことがうれしかった」と弾む声で語った。スポーツであれ音楽であれ、高校生が注ぎ込む熱情に違いはない
▼ミュージックタウンは7月で開設10年。音楽人材の育成を期待された施設にとって“音楽のインターハイ”は原点回帰と言える。若い感性を育むことは社会にどう影響するか。聴衆となる市民、県民も共に考える機会になれば、もう一つのインターハイの意義はさらに深まる。