<金口木舌>根付くか、自転車文化


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 名護市内を訪れると、国道58号沿いに青く塗られた道が延びていることに気付く。自転車のまちづくりを進める市の計画を踏まえ、北部国道事務所が整備している専用道だ

▼名護市は19日、愛媛県今治市と「自転車を通じたまちづくり交流協定」を締結した。今治市は国内初の海峡横断自転車道がある「瀬戸内しまなみ海道」の玄関口。多くの自転車愛好家が国内外から訪れる
▼先進地の今治市と連携し、自転車を通じた市民の交流促進や観光振興などを図る。健康や生きがい、友情などを生む「自転車新文化」の価値観創出もうたう
▼名護市は自転車ロードレース「ツール・ド・おきなわ」の中心地となっているほか、レンタル自転車の実証実験など、さまざまな取り組みを進めている。2015年4月からは、県内で初めて、自転車で通勤する職員への通勤手当を支給している
▼自転車をモノレールやバスと連携させ、観光やまちづくりに生かそうという社会実験は那覇市や浦添市でも行われてきた。環境への負荷を軽減しつつ、健康づくりを図ることができる乗り物として、その可能性があらためて注目されている
▼長寿県の座から滑り落ちつつある沖縄。車社会で、自転車文化がどこまで根付くのか。その浸透が進めば、再び「健康・長寿の島」の栄誉を取り戻す一歩になるかもしれない。