<金口木舌>元気に育て オキゴンドウ


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 イルカの一種オキゴンドウの赤ちゃんが5月、本部町の海洋博公園で生まれた。母親「もも」にぴったり寄り添って泳ぐ姿が愛らしい。オキゴンドウが、海洋博公園で生まれたのは17年ぶりだ

▼父親「ティダ」と「もも」は昨年4月に交尾が確認された。13カ月の妊娠期間中、公園の担当者が定期的に超音波画像の診断と採血を行い、母子の健康と成長を見守ってきた
▼オキゴンドウは世界的に繁殖例が少ない。国内では今回が9例目。1年以上飼育できたものは2000年に海洋博公園で生まれ、7年飼育した1例しかない。今後の飼育が生態を知る上で貴重なケースになる
▼「もも」が万一、育児放棄した場合に備え、子育ての経験があるバンドウイルカが母親代わりを期待されて一緒の水槽で泳ぐ。だが、赤ちゃんは1時間に3~5回、母親から授乳を受けるなど、子育ては順調だ
▼昨年度、国営沖縄記念公園の海洋博覧会地区を訪れた人は約489万人。外国人客の増加を背景に、5年連続で過去最高を更新した。美ら海水族館と周辺施設は、そのけん引役で、イルカのショーは人気が高い
▼日本動物園水族館協会(東京)は15年5月、「追い込み漁」で捕獲された野生イルカの調達を禁止。繁殖の重要性は一層高まっている。オキゴンドウの赤ちゃんがすくすく育つ姿は、多くの人に元気を与えるだろう。