<金口木舌>明日を開く 球児のプレー


この記事を書いた人 琉球新報社

 高校野球の全国選手権大会が2018年、100回の節目を迎える。第1回大会は1915年であり、計算が合わない。時代に翻弄(ほんろう)されたためである

▼太平洋戦争開戦を前に1941年7月、前身の全国中等学校野球大会が地方大会の途中で取りやめになった。その年、甲子園を懸けた南九州大会が沖縄で初めて開かれるはずだった。地元開催を待ち望んだ関係者を落胆させたことは想像に難くない。戦争で球児の夢は打ち砕かれた
▼高校野球に限らず、県高校総体など各大会で、平和や周囲への感謝を盛り込んだ選手宣誓が増えている。これからもずっと若者たちの胸に引き継がれてほしい
▼きょう17日、全国のトップを切って夏の甲子園県大会が始まる。県高校野球連盟の又吉忠理事長は「平和があっての高校野球で、プレーできる喜びをしっかり感じてほしい」と願う。選手はその言葉をしっかり受け止めるだろう
▼指導者の多くが球児の成長を願う。17日付本紙別刷りの大会ガイドにも、その思いがにじむ。投・攻・守のキーマンをできるだけ多く並べた紹介文に、監督らの選手への期待が詰まる
▼今年の出場は63チーム。春は部員不足で出場を断念した辺土名のほか、南部商と南部農林は合同チームで挑戦する。平和への思いをあらためて誓いつつ、選手たちを応援したい。プレーの一つ一つが明日への一歩につながる。