<金口木舌>オスプレイはレッドカード


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 ロンドン世界陸上を最後に引退するウサイン・ボルト選手が、男子100メートルで3位に終わった。競技後「スタートが命取りだった」と敗因を語った。頭の片隅に“悪夢”が残っていたのかもしれない

▼6年前の世界陸上決勝。ボルト選手はフライング1回で審判にレッドカードを掲げられ、即失格となった。フライングの国際ルールが厳格化されて初の世界陸上だった。それまでは1回目は許され、2回目にフライングした選手が失格になっていた
▼「厳しすぎる」との声が多く上がったが結局、現行ルールに落ち着いた。意図的にフライングをして駆け引きに悪用する例が相次いでいたためだ。1発勝負にして選手の集中力を高めることで、好記録を期待できる面もある
▼一方、空では「安全・安心」が最低限のルールのはずである。欠陥が指摘されてきたオスプレイのことだ。日米政府の従来の説明とは裏腹に、米軍普天間飛行場所属機が2度も落ちた
▼1度目は原因が究明されないまま、6日後に飛行を再開した。事故調査報告書はいまだに日本側に提出されていない。そのさなかの2度目である。「二度あることは三度」が心配だ
▼陸上界では、偉大な世界記録保持者であっても、一つのミスで退場になる。日本政府が米側に求めた「飛行自粛」はポーズにすぎない。今こそ、オスプレイにレッドカードを突き付ける時である。