<金口木舌>日本に問われる人権意識


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 米サンフランシスコ市議の一人は公聴会で、ある日本人参加者に「恥を知れ」と4度繰り返した。「従軍慰安婦は全て捏造だ。あの売春婦はうそつき」との発言に対してである

▼サンフランシスコ市長は民間団体から慰安婦像の寄贈を受け入れた。反発した大阪市長は姉妹都市関係の解消を表明した。「性奴隷にされた何十万の女性」などと記した碑文が日本政府の見解と違うとし、慰安婦は「性奴隷」ではなく「戦場での公娼制度」と主張した
▼日本政府も「極めて遺憾」と大阪市側に立つ。首をかしげたくなる。2015年の日韓合意などで、日本政府は「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷付けた」「日本政府は責任を痛感している」との見解を繰り返してきたからだ
▼この文言通りなら、軍の関与の下での女性への深刻な人権侵害が問題の本質である。それを直視しない議論が批判されている
▼そんな政府の姿勢も反映されているのだろう。国連人権理事会は日本の人権状況に関し、朝鮮学校の無償化除外やヘイトスピーチなど218項目の勧告を出した。項目は約9年間で8倍超増えた
▼勧告には、弱者としての沖縄の人々の人権を保障する対策強化も含む。沖縄で起きていることは、世界から見ても大きな人権問題だ。放置し居直ることは、国際基準からすると、それこそ「恥知らず」ではないか。