<金口木舌>米朝首脳会談が実現し、1カ月が経過した。非核化の道筋は不透明・・・


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 米朝首脳会談が実現し、1カ月が経過した。非核化の道筋は不透明なままだが、武力衝突ではなく外交による、東西の緩衝地帯である朝鮮半島の平和構築に期待が高まっている

▼「北朝鮮と戦争になったらどうする」。韓国で知り合った、徴兵から戻ったばかりの学生に聞いた。「同胞だが、国のために戦う」。悲壮感があふれていた。休戦はしているものの、朝鮮戦争はいまだ終結していない
▼韓国で政権支持率が下がったときに浮上するのが領土問題や従軍慰安婦への補償など対日問題だ。「抗日」が国民の支持を取り付けるため利用されているようにも見えるが、安倍晋三政権がアジア諸国への加害責任に向き合おうとしないことが背景にある
▼G7でメルケル独首相がトランプ大統領に詰め寄って米国の孤立主義を批判し、再考を促した。不当な関税措置や日米地位協定、米軍絡みの事件事故でなぜ安倍首相は「友人」のトランプ大統領に強く意見できないのか
▼ドイツはナチスを否定して謝罪し、近隣諸国の信頼を取り戻した。米国の後ろ盾を得るために事実上、主権を手放した日本は、戦前に回帰するかのように愛国心を学校で教え込もうとしている
▼過ちを心から反省して近隣諸国の信頼を取り戻し、主権国家として国際社会と渡り合えるか。東アジア地域の緊張を緩和するためにも、真の平和外交が求められている。