<金口木舌>ものづくりの喜び


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県外から来た方に「暖かい」と喜ばれると、褒められたようでうれしくなることがある。北谷町や北中城村の商業施設を歩く人にも半袖姿が増えてきた

▼沖縄気象台によると、統計を取り始めた1947年以降、最も暖かい冬だった。2月の平均気温も過去最高。プロ野球の各球団は順調なキャンプだっただろう。巨人の原辰徳監督は「90点」と採点した
▼気候に負けじと、熱い気持ちが充満した中城中学校の生徒による実演販売だった。2年生が村産の農産物を用いた商品の開発に取り組んだ。仕上がったレトルトカレーやスープを手に店頭で販売し、ほとんどを売り切る百点満点の結果となった
▼コープ山内店に立った比嘉雪乃さんは祖父母が農家。商品の材料の島ニンジンやトウガンを作っている。「こんないい物が中城にあると知ってもらえる」と胸を張った
▼開発にはコープおきなわのほか、メーカーや行政など多くの大人が携わった。村内の菓子製造業者の瀬良垣守幸さんは「努力して物を生み出すことで社会が循環していることを知ってもらえる」と学びに期待した
▼実演販売したのは那覇や浦添、沖縄市内の店舗。駆け付けた家族や村職員、村議らのほか、普段の買い物中に知って次々と購入する客もいた。多くの大人に支えられたものづくりの機会は、努力や苦労が報われる喜びを知る経験となった。