<金口木舌>ナマズの予知によれば


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 ナマズに地震の予知能力があるという話は昔から言い伝えられてきた。微弱な電流を感知する能力の報告もあり、地震の前兆をとらえる可能性も取り沙汰される

▼永田町に吹く風の予兆はどうだろう。首相権限による衆院の「解散風」のことだ。5月末に「風は気まぐれ」と思わせぶりな発言をしていた安倍晋三首相だが8日、記者に問われて「ほとんど無風」とかわした
▼夏には参院選がある。衆院解散となれば、過去に2回あった衆参同日選が想定される。ダブル選の観測を伝えていた各メディアは10日になって「衆参同日選見送りで最終調整」などと報じた
▼参院選単独でも与党有利、高水準の内閣支持率、改憲勢力の議席減の懸念―などと見送りの理由が並ぶ。そもそも、内閣不信任の場合を除いて解散が可能なのは、内閣と衆院の意見が異なるときや新たな政治課題が生じたときなどに限られるはずだ。権謀術数の道具にしてはならない
▼政界の行方を占う政局の報道が主となる中、具体的な政策を問う議論はどうか。国会は、イージス・アショア配備地の選定を巡る問題や「老後資金に2千万円必要」とする金融庁の報告で紛糾する
▼ナマズの予知ではないが、選挙の結果は誰も予見できない。今、沖縄の米軍基地を引き取る運動によって議論が全国に広がり始めている。これを機会に選挙の争点になればいい。