金口木舌(2008年11月16日)

 「自分は普通の日本企業が上場できない米国ナスダックに上場する企業の日本代表だ。収入も普通の会社員より高い。それなのに、東京ではアパートを借りられなかった」

▼来県した百度(バイドゥ)・日本駐在首席代表の陳海騰さんが苦笑しながらそう話していた。百度といえば、中国で市場占有率7割を誇り、世界でもグーグル、ヤフーに次ぐ検索サイト大手だ。その日本代表が部屋一つ借りられないというのだから、「日本は外国人に冷たい」と話すのも分かる
▼陳さんは神戸大大学院修了だが、事情は当時も同様。「200人いた留学生のほとんどが日本嫌いになった」という。せっかく留学の機会を与えて国際交流を図っても、その人材に嫌われては逆効果だ
▼その陳さんが現在の地位に駆け上ったのは県内経済人の支援があったからだ。沖縄国際大に留学していたころ、非常勤講師だった成田善一琉薬社長がその頭脳にほれこみ、支援した
▼大学院に進学する際も、「娘の進学とも重なり、正直苦しかった」成田さんだが、陳さんの学資を出した。なかなかできることではないが、心からの結び付きがあったからこそだろう
▼陳さんは成田さんを「父親」「恩人」と話す。「北海道でもなく、九州でもなく、沖縄だから中国富裕層の観光を誘致したい」とも。隔てのない、本当の交流から生まれるものもある。