金口木舌(2010年9月28日)

 中国での出入国の際、報道関係者は特別に審査を求められることがある。パソコンやカメラなどについて事前に申告したメーカーや製造年、型番と照合する手続きだ

▼中身まで調べてはいないから、不正流通のチェックが主目的と思われるが、保証金を求められたり、求められなかったり。場所や職員によって対応が違うことには戸惑う
▼要は国家が目を光らせているという威信を示すことが重要なのだと勝手に理解したのだが、尖閣諸島沖の漁船衝突事件をめぐる中国政府の姿勢は、そうした側面だけでは片付けられないから難しい
▼中国人船長の釈放で落ち着くかに見えたが、中国政府は強硬姿勢を崩していない。国内世論への配慮に加え、周辺諸国や米国への牽制(けんせい)など、主張の背景には複雑な要素も絡んでいる
▼尖閣諸島が石垣市登野城の地番を持つ沖縄県の行政区域内であることは論をまたない。かつては人が住み、かつお節加工も行っていたことなど、歴史の事実を正しく発信することも大切だと思うが、まずは漁師ら地元の不安を取り除くことが急務だろう
▼事件の展開を見ていると、双方が互いの出方を読み違えているようにも見える。日中外交の脆弱(ぜいじゃく)性を嘆きたくなるが、ある意味で未成熟な隣の大国と付き合うためには、大人の対応が重要だ。日本側の冷静な胆力が求められている。