金口木舌(2010年10月27日)

 ノーベル平和賞。今年は中国の民主政治を求める憲章起草で服役中の劉暁波氏が選ばれた。劉氏受賞に異論はないが過去には疑問の残る人がいる

▼オバマ米大統領は世界に「核なき世界」を働き掛けたのに、9月に臨界前核実験に踏み切った。被爆地から返上を求める批判が出たのは当然だ
▼佐藤栄作元首相が選ばれた1974年、沖縄では首をかしげる人が多かった。琉球新報の同年10月10日の社説は「佐藤氏への授賞に爆笑」と題し「まさに爆笑ものである。理くつぬきに本当に、ばからしくて大笑いできる小話である」と批判した
▼「非核三原則」が受賞理由だが、佐藤氏は当時すでに核兵器の役割を評価していた。沖縄では佐藤氏調印による復帰後も広大な基地は残り、米兵の基地従業員射殺、女性絞殺、米軍車両の老女れき殺など基地被害は後を絶たない
▼社説はこうした状況下で悲しみをこらえながら「爆笑」という言葉で批判するほかなかった。赤塚不二夫さんも漫画「天才バカボン」で「わしは佐藤栄作がノーベル平和賞をもらってから何も信じられなくなった」と語らせた
▼今の日本。政府は普天間移設を県内に押し込める日米共同声明を推進する立場だ。昨年夏の選挙前に党首が言っていた「最低でも県外」の言葉を思い出すと「何も信じられなく」て「爆笑もの」の状態は続いているようだ。