金口木舌(2011年4月26日)

 4月上旬、ネット上で話題になった曲がある。「ずっとウソだった」。シンガー・ソングライターの斉藤和義さんが自身のヒット曲を反原発の替え歌にした。「俺たちをだまして/言い訳は想定外」「ほんとウソだったんだぜ/原子力は安全です」

▼共感を得たのか、動画は何度削除されても次々とコピーされ、草の根で広がっている。福島第1原発事故で、東京電力や政府の情報開示に対する不信は尽きない
▼26日はチェルノブイリ原発事故から25年。発生直後、旧ソ連は情報隠しに走った。異常な放射線量を検知したスウェーデンから指摘されて初めて、ようやく2日後に爆発を認めた
▼付近住民5万人に避難命令が出たのは事故翌日。「3日で帰宅できる」とバス1100台に乗せられたが、今も30キロ圏内は居住禁止が続く。危険性を説明されずに防護服なしで消火に当たった消防士約30人がその後、死に至った
▼欧州全域に放射性物質が飛散し、ソ連は国際社会から非難を浴びる。これをきっかけに当時のゴルバチョフ書記長はグラスノスチ(情報公開)を進め、改革による民主化に乗り出す
▼22日にウクライナで開かれた国際科学会議で、原子力の専門家は「東電は情報を十分に開示していない。チェルノブイリの経験を生かしていない」と指弾した。惨事から四半世紀。日本にもまたグラスノスチが求められている。