金口木舌(2011年5月10日)

 「沖縄は全国の75%」。そう聞くと何を連想するだろうか。米軍専用施設の集中度ではない。沖縄で見られる野鳥の種類の割合だ。野鳥愛好家に教えてもらった

▼日本で見られる鳥は約600種類。そのうち沖縄では450種以上が確認されている。これだけ多種の鳥を観察できる地は全国でも数少なく、まさに野鳥の宝庫だ
▼一年中沖縄で過ごす留鳥は約40種。残りの9割は渡り鳥で、南北に島々が連なる南西諸島は大事な中継点になっている。命をつなぐこういうキーストーン・オブ・ザ・パシフィック(太平洋の要石)なら歓迎だ
▼国頭村の山中でキャンプした十数年前、早朝に何度も響き渡る鳴き声で目を覚ました。「キョロロロー」。澄んだ声の主はアカショウビン。写真で姿を知ってはいても、実際に自分の耳で確かめると美声にも魅了された。生きている森を実感した
▼だが、ヤンバルの山々は厳しい状況が続く。生息域を分断する林道や外来種の侵入に加え、近年は交通事故が増えている。昨年のヤンバルクイナの輪禍は最悪の33件。ことしも既に8羽が被害に遭った
▼きょうから愛鳥週間。鳥がすみやすい環境はヒトにも地球にも快適なものだ。爆音をまき散らしながら空を飛ぶ「75%」は減らすべきだが、生物多様性を象徴する「75%」は守っていかなければならない。ヒトの知恵が試されている。