金口木舌(2011年9月19日)

 お年寄りとは何歳からをいうのだろう。〈飲み代が酒から薬にかわる年〉か。全国有料老人ホーム協会が発表した「シルバー川柳」の入選作20点が面白い。自らの老いを洒脱(しゃだつ)に笑い飛ばしている

▼〈誕生日ローソク吹いて立ちくらみ〉〈中身より字の大きさで選ぶ本〉。体の衰えは気になるが、何でも加齢のせいにされると〈「お年です」それが病気か田舎医者〉と反論したくもなる
▼年を重ねると忘れっぽくなるのも致し方ない。〈万歩計半分以上探しもの〉〈カード増え暗証番号裏に書き〉は悲哀も見え隠れする。少しでも若く見られたいのも人情で〈少ないが満額払う散髪代〉。でも〈若作り席をゆずられムダを知り〉
▼今や〈ボランティアするもされるも高齢者〉。東日本大震災でも見られた光景だ。知恵も経験もある年長者は、地域や社会を支える不可欠な存在になっている。その活力は若い世代も学びたい
▼敬老の日のきょう、祖父母からじっくり話を聞くのは一番のプレゼントではないか。〈「いらっしゃい」孫を迎えて去る諭吉〉では寂しい。戦争や米軍統治の苦難の時代を生き抜いてきた人生の達人からは、生きるヒントが得られるはずだ
▼仏の作家アナトール・フランスはこう言った。「誰しも老いるのは嫌だが、それは長生きをするための唯一の道なのだ」。老いはマイナスばかりではない。