金口木舌(2011年10月14日)

 翻訳ソフトで日本語を英文に直すにはコツが必要だ。日本文に主語を加えること。平安時代の長編、源氏物語でも敬語や述語の使い方で主語は「お上」か「光源氏」かを知る。それが時にあいまい、婉曲(えんきょく)といった印象を与える

▼ところで県議会9月定例会はいつもと様子が違った。野党議員から仲井真弘多知事を褒める発言が繰り返されたのだ。知事が米国で米軍普天間飛行場の県外移設を訴えたことで「沖縄の主張をしっかり伝えた」というわけだ。珍しい展開に当の本人が面はゆそうだった
▼しかし、米国人に仲井真知事の主張がちゃんと伝わっているか気になる。知事は普天間の名護市辺野古移設案に対して「県外を探した方が早い」と述べたが、「私は県内反対だ」とは言っていない
▼その言説が国内でも「条件さえ整えば県内移設を受け入れるのでは」との憶測を生んでいる。ましてや主語を付け自らの考えを明示するのが基本の米国人に理解できるかどうか
▼野田佳彦首相は所信表明で初めて「普天間飛行場の固定化」という言葉を使った。辺野古が頓挫すれば普天間が固定化するぞ、という脅しにも聞こえる
▼首相は否定したが、基地と振興策のリンク論は政府内でささやかれる。知事はそろそろ主語を明確にして普天間問題を主張した方がいい。あいまいさが日米両政府や国民の不信を招いて“命取り”になる前に。