<金口木舌>沖縄が内包していた力

 燃え上がる炎。甲板にあふれんばかりの人。勢い余って海に落ちる人も―。モノクロの写真からは1960年代の熱気、勢いを感じる

▼国頭村で20日に始まった復帰40周年記念写真展。60年代に開かれた4・28海上集会の様子を切り取った一こま一こまを見ていると、沖縄が内包していた力を感じる。「祖国復帰」。人々の思いが一つの方向に向かった時の力強さだ
▼沖縄を本土から切り離したサンフランシスコ講和条約発効の4・28から60年。その日に合わせて開かれた海上集会がことし再現される。かつてと違うのは「政治色抜き」。主催するのは国頭村と鹿児島県与論町だ
▼集会の再現だけでなく、子ども同士の交流事業もある。関連事業を含め未来志向の企画に―というのが両町村の願い。1月に国頭、与論の担当者が集まる機会があり、同席させてもらった。各担当者が「楽しい仕事は苦にならない」と口々に語ったのが印象的だった
▼沖縄の最北端・国頭と鹿児島の最南端・与論。過疎や活性化など共通する悩みもある。過去に交流がなかったわけではないが、これを機に県境を越えた新たな関係を築こうという意気込みが伝わってくる
▼4・28は「屈辱の日」と言われる。その歴史の継承は大切だ。同時に海上集会の再現を通して沖縄と鹿児島の将来像を力を合わせて描く「希望の日」も始まってほしい。