<金口木舌>「八月十五夜の茶屋」の風刺

 きょうは「中秋の名月」。十五夜にちなんで古い映画を調べてみた。沖縄を舞台に名優マーロン・ブランドが主演した「八月十五夜の茶屋」(1956年)

▼占領下の沖縄で米軍が物資を提供し学校建設を進めようとしたが、住民の「民主主義的な手続き」で料亭建設に替わってしまうという琉米の異文化のぶつかり合いが生む笑いを描いたものだ
▼笑いの中に米軍の占領政策への風刺がちりばめられるなどスパイスが利いていた。当時、毎日新聞論説委員だった古波蔵保好氏も本紙に好意的な映画評を寄せている(57年3月28日付)
▼その記事中で映画を見た青年の談話が紹介されている。「日本の占領当時、米軍に対してあれほどの抵抗を日本人は示していない。沖縄の人は勇敢にいいたいことをいってのけ、やりたいことをやった」
▼住民の描き方に異論もあったようだが、米軍による「善意の押し付け」を利益に変える沖縄人のしたたかさも描かれていた。映画公開から半世紀たつが、今も米軍は「抑止力向上」をお題目に、沖縄に「善意の押し付け」を迫る
▼映画の最後はブランドのせりふ。「苦痛が思考力を養い、思考が人を賢くし、知恵が人生を支える」。「押し付け」がまかり通る沖縄にとってはここが知恵の絞りどころ。権力への抵抗を笑いにくるむ手法は今も通じる。県内の映画人にぜひとも奮起をお願いしたい。